山邉ブログ

2012.05.09更新

 相続税では、被相続人から相続等により財産を取得したすべての者に連帯納付義務が課されています。 
 この連帯納付義務制度とは、相続により受ける利益相当額を限度として、互いに相続税の連帯納付義務を負うものです。
 例えば、被相続人から相続により財産を取得した相続人A、B、Cがいた場合、相続人Aが相続税を納付していななければ、相続人BとCは自己の相続税の負担のほかに、相続人Aの相続税も負担しなければならないということです。

 この制度の問題点は、上記の例でいえば、相続人BとCが自己の相続税を納めても、相続人Aが納税を終えるまでは連帯納付義務から解放されないことです。相続から長期間経過後に連帯納付義務者である相続人BとCに対して納付を求められるケースもあるため、問題視されていました。さらに、延滞していた相続税の他に、延滞期間に応じた延滞税(23年4月1日以後は原則利子税)の納付も求められるため、批判の対象となっていました。
 本来の納税義務者が延納のため担保提供していた土地の価格が地価下落により落ち込んだ時の担保価値の下落リスクを、連帯納付義務者が負うケースもあります。

このように連帯納付義務には様々な問題があったことを受け平成24年度の税制改正において、この連帯納付制度が改正されることになりました。

具体的には、次のいずれかに該当した場合に連帯納付義務が解除されます。
①申告期限等から5年を経過した場合(経過した時点で連帯納付義務の履行を求めている場合を除く)
②納税義務者が延納又は納税猶予の適用を受けた場合

この改正は平成24年4月1日以後に申告期限が到来する相続税について適用されます。
さらに、救済範囲を広げるため、同日前に申告期限が到来していた相続税についても、納税義務者が延納又は納税猶予を受けていれば、その適用額については連帯納付義務が解除されます。また、同日前の申告期限から5年を経過しても連帯納付義務者に納付通知書が発せられていない場合についても連帯納付義務が解除されます。

この連帯納付義務制度は相続人にとって大変な負担を強いる制度だっただけに、改正されたことは朗報といえます。




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山邉洋税理士事務所
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投稿者: 山邉洋税理士事務所

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